- アメジストは世界中で産出される
- 主要産地は「ブラジル」「ウルグアイ」
- 鉱山が閉山している産地のものは高値で取引されている
アメジストは天然石の中でも比較的産出量が多く世界各国で産出される人気の天然石です。
日本でも山梨県や石川県などで産出されており、国産のアメジストも流通しています。
アメジストを販売していると、お客様から産地についてご質問をいただくことが多いので、今回はアメジストの産地と産地別の形状などの特徴を解説していきます。
天然石は地球が何千年とかけて創り出したもので、どれも掛け替えのない存在ですが、天然石の世界をより深く知っていただくための参考にしていただければ嬉しく思います。
アメジストの主な産地
現在日本で流通しているアメジストの主な産地は「ブラジル」と「ウルグアイ」です。ブラジルとウルグアイはアメジストの産出量が多く、そのおかげで天然石の中では比較的値段も安いので、一般ユーザーの方々も手に入りやすくなっています。
ではそれぞれの産地の特徴をみていきましょう。
ブラジル
ブラジルはアメジストに限らず水晶など他の天然石もたくさん採れる鉱物大国です。主要都市の観光客向けのストリートにはお土産屋さんとしていくつもの天然石ショップがあり、ブラジルにとっては一大産業と言えるでしょう。
そんなブラジル産のアメジストは色、形、大きさなど実に様々な種類が採れるので一概にブラジル産の特徴をまとめることができないというのが正直なところです。
この後紹介するウルグアイ産のように結晶の色が濃くて深い紫色のものもあれば、淡い紫で柔らかい印象のものもあります。
それでも特徴を挙げるとすれば、日本で流通しているブラジル産アメジストは比較的色が淡く(捉え方によっては薄い)、大きめの結晶を形成します。
大きめのアメジストポイントや、12mmを超える珠はブラジル産から加工されることが多いです。
また、ブラジル産アメジストにはいわゆるスーパーセブンと呼ばれる、「ゲーサイト」「レピロクロサイト」というインクルージョン(内包物)が含まれているものもあり、普通のアメジストより高値で取引されています。
ウルグアイ
特徴を限定できないブラジル産に対して、ウルグアイ産のアメジストは非常に特徴的です。
- 結晶が小粒で綺麗な六方晶系
- 結晶が濃紫
- 母石が天然セメント
結晶が小さくて濃いことから、光に当てると照り感とツヤ感でキラキラと輝き、濃い紫色は結晶の奥まで惹き込まれていくような美しさがあります。
クラスターやドームの母石は天然セメントになっていることが多く、ブラジル産と比べて脆さがないのが特徴です。
上記のような特徴から、ウルグアイ産のクラスターやドームは価値が高く、特にウルグアイ産のアメジストドームは非常に品質が高く日本人に好まれています。
このように天然石、原石として楽しむ分には人気の高いウルグアイ産のアメジストですが、宝石としての価値は低いようです。
宝石は透明度が高く鮮やかな発色が求められ、さらに結晶内部のクラックやインクルージョンが無い無垢なアメジストのみが宝石として扱われます。ウルグアイ産の特徴である結晶が小粒だったり、色が濃すぎたりするのは、宝石としては向かないのでしょう。
マニア必見のアメジストの産地
日本で展開している天然石ショップではなかなか見かけませんが、ブラジル、ウルグアイ以外の産地のアメジストもあるのでいくつかご紹介します。
ザンビア
ザンビア産のアメジストは透明度が高い印象で、結晶全体が紫色になっているというより、同一結晶内で濃いところと淡いところが混ざっており、グラデーションになっているものが多いです。
ブレスレットなどに加工されているものの特徴としては、色が濃いけど透明度が高く、鮮やかな発色をしています。
日本では流通量が少なく、一見ブラジル産とどう品質に見えるものも、ブラジル産の10倍ほどの価格になっているものもあります。
マダガスカル
マダガスカル産のアメジストは色が淡く、結晶の一部が紫色になっているものが多いです。また、紫色というよりも黒っぽさが際立つものもあります。
日本で流通しているマダガスカル産のアメジストはアメジストエレスチャルやスーパーセブンとしてのアメジストが多いです。
純粋なアメジストではなく少し凝ったアメジストをお求めの方におすすめです。
メキシコゲレロ州
メキシコゲレロ州はマニアの間では最高品質のアメジストが採れる産地として有名で、その結晶は非常に美しい形をしています。
アメジストの結晶は、水晶のように高さが出ることはあまりなく、小粒な結晶が一般的ですが、メキシコゲレロ州産のアメジストはヒマラヤ水晶の結晶のような高さがあり、非常に美しい六方晶系を形成します。
残念ながら現在では鉱山が閉山しており、メキシコゲレロ州産のアメジストは世界に流通しているもののみになり、非常に希少価値が高くなっています。
天然石のロマンがここに
産地別にアメジストをみていくと、それぞれの特徴があって天然石の奥深さを感じるのではないでしょうか。
一般ユーザーが天然石に触れるのは「パワーストーン」として流通しているブレスレットがほとんどですので、加工前はどのようになっているのか知られていないことも多いですが、原石には原石の魅力がありとても面白いです。
日本ではブラジル産、ウルグアイ産以外のアメジストを入手するのは難しいですが、ぜひ様々な産地のアメジストに触れていただければと思います。